虫の声

 わかってる。わかってるよ、そんなことは……。
 
 きょうから金曜までは、竹橋に出張仕事。
神田神保町「なかや」の鰻重 1日目の本日は、昼間、神田神保町の「なかや」で、ときをくんと鰻を食った。
 特上の鰻重、肝吸が付いて2200円也。安いでしょ。やっぱうなぎはうまいなぁ。週に一度は食べたいよ。
 現状、月に一度くらいだけれど。
 夜は居酒屋で、山形は天童の出羽桜の純米を呑みながら、秋の新さんまの刺身をたらふく食ったよ。
 うまかったなぁ。酒も、刺身も。
 知ってる? 日本のど真ん中、ここ東京の大手町でも、夜、歩いていると虫の声が聞こえるんだよ。それも皇居のお濠のほうからじゃなくて、ビルの谷間から。どこにいるんだろう。どこにいるのかわからないけど、聞こえるんだよ、虫の声が。
 40歳になって、8ヵ月を過ぎた。べつに人生の秋を迎えて、虫の声を楽しむ季節だとは言わないけど。
 言わないけど、日本のど真ん中のビルの谷間で、虫の声が聞こえる。
 はかないながらも力強いその声に、僕は自分を重ねているのかいないのかそんなことは言わないけれども、だけども控えめにビルの陰から鳴いている虫たちの声に、僕はある種の生きる力を見いだすのだ。
 
 (23:40)