東山花灯路

 昨晩は京都に着いたあと、以前にも泊まったことのある柳馬場蛸薬師上ルのコープ経営ホテルに宿を取って、東山の花灯路(はなとうろ)見物に出かけた。男1人で(泣)。
 昨年末、嵐山・嵯峨野の花灯路に男4人で行ったときのことを書いたけれど、要はあれと同様のイベント(嵐山と東山なので風情はかなりちがうが)。東山の道々に無数の行灯が灯され、一帯の寺もライトアップで夜間特別拝観を行う。雰囲気はまあともかく、当然ながら人も多い。しかも、やっぱりカップルだらけ(泣)。あとはおばちゃんのグループとか、女性2、3人連れとか。男単独はあまりいないし、ましてや年末の嵐山のときのように野郎4人連れなど(以下略)。
ライトアップされた青蓮院 今回は、まず花灯路エリアではいちばん北にあたる青蓮院門跡(しょうれんいんもんぜき)へ三条通りから入った。門跡(門跡寺院)とはかつて門があった場所のことではなくて、皇室や摂関家の子が入る寺のことである。あの三千院門跡寺院だ。
 青蓮院の庭には青い電飾が施され、その明かりが消えると闇の中に何やら梵字が浮かび上がる演出。カップルたちは口々に「きれい」だの「幻想的」だのとのたまい、盛り上がっている。
 ……まあたしかにきれいなのだろうけど、僕はあまりそう感じなかったな。青蓮院は普通に昼間のほうが素敵だと思う(若いカップルたちに対抗した負け惜しみではなく)。それに、清水寺なんかにもあるけど、あの夜空を照らすビームはやめてほしいし。
 でも一方で、ここの隣の知恩院の庭園は、昼間に見るよりもライトアップされた夜間のほうがきれいだし幽玄かもしれない(笑)。今回は行ってないけど、紅葉の時期の夜の庭は吸い込まれるようだった。嵯峨野の寺社にも、夜が素敵なところは多い。つまり、ライトアップはきれいなこともあるし、興ざめなこともある。こういうのはとても難しいところで、演出する側のセンスが大きいし、もちろんこちらの感覚とマッチするかという問題だから、やはりとりあえずは見てみたくなる。それに、ライトアップのセンス云々はともかく、夜間拝観というのは基本的に好きだ。
 青蓮院を出て、南へ。知恩院の巨大な三門の前を通り、円山公園を抜けて八坂の塔法観寺)、高台寺方面へゆったりと歩く。円山公園から先はさすがにすごい人出。秀吉の妻ねねゆかりの圓徳院にも入ったが、ここの枯山水(禅寺の水を使わない庭園様式)の北庭は、ライトアップもいい感じだった。高台寺のライトアップは見たことがないけど、どうだろう。あすこは庭自体はきれいなのだけど、これどうなの?というイベントも多い寺だから(笑)。
 ちなみに、ライトアップして人々に公開するのも功徳の一つらしい。大宗教は概して柔軟だ。だからこそ人もたくさん集まるのだろうが。
 
 21時半で花灯路の行灯が消されてからも、石塀小路や八坂神社など、東山界隈をしばらくぶらついた。人がぐっと減り、ところどころまだ消されていない行灯も残っているのがいい風情だった。
 
 明けて19日、きょう。三河は岡崎へ行くことにして、いま車中。雪化粧の伊吹山がいつものように美しい。まもなく、関ヶ原
 
 (9:29)