北緯27度の星空

 今回、奄美諸島にきてから、昼間は晴れることがあっても夜は雨だった。今夜もどうせそうだろうと思いつつ、2時間半の長い夕食のあとに外へ出てみたら、意外や意外、北天の水平線に近いほうを除いてなんとも美しい星空が広がっていた。とくに南天のさそり座のあたりは相当細かい星までが見え、都会では味わえない真の夜空の宝石をしばし満喫した。
 ただでさえ暗いこの島、宿は街から離れてさらに暗い北海岸にあり、周囲には10分程度歩いてもまったく家がない。空港には近いけど夜遅くに飛んでいるわけでもない。いわば孤立したところである。灯台の光が定期的にくるっ、くるっと回ってくることはあるが、星を眺めるにはまさに絶好の場所だ。宿の主人(僕の父親と同い年)が玄関の明かりを消してくれたのでさらに暗く、細かい星まで見えるようになった。
 生きている喜びを、かみ締めたよ。 (22:51)