あんまり知らないってさ

 テレビの街頭インタビューなんか見てるとさ、たとえばリポーターが街ゆく人をつかまえて
「●●って知ってますか?」って聞くと、
「あまり知らないですねぇ」って答えるじゃないですか。
 同じように、
「●●、見たことありますか?」には
「んー、あまり見たことないですねぇ」と。
「よく知らない」などの「よく」も同系統の反応ですね。
 たぶんおそらくそう答えてる人って、多くの場合はあまりどころか、まったく知らない、まったく見たことないと思うんだよね。きっと。
 だけども、「知らない」「見たことない」とは答えない。
 
 どうして日本人って(関西人のような例はあるにしても、ここではあえて日本人と書くことにしますが)、「知らない」「見たことない」ってなかなか答えられない人が多いんだろうね。
 答えられないのか、それとも答えないのか。その辺はわからんけども。
 いいのに。「あまり」とかわざわざ付けなくてもさ。知りません、見たことありません、で。
 欧米の人は、付けないよね。知らないは知らない、見たことないは見たことないだよね、たぶん。
 そういえば、チェックしたことがないんだけども、海外のメディアでは、こういった日本人の街頭インタビューの返答をどういうふうに訳して伝えているのだろう。
 こんど注意して見てみようっと。向こうでも言ってたりして(笑)
 ……まあ、言わないよね。
 言わないとするならば、そこに日本人と欧米人の、日本語と欧米言語のちがいが浮かび上がってくるわけで。
 東京へのオリンピック招致に賛成ですか? という質問にも、「賛成」「反対」でなく「どちらかというと賛成」とか「どちらかというと反対」とか「どちらでもない」って答えが多いのが日本人。
 日本人は「あまり」とか「どちらかというと」を付けることで、自信がないことを濁しているのかもしれないし、知らない見たことないと答えることはある種のプライドが許さないのかもしれないし、あるいは質問している相手のことを気遣って答えているのかもしれないし、あるいはほんとに自信がないのかもしれないし。いろいろ背後にあるんだろう。もちろん、ただ単にハッキリと答えたくない(答えることができない)のかもしれないし。
 あなたはどうですか? やっぱり「あまり」って言っちゃう?
 いやいいんですよ。日本人なんだし。いいかどうかはわかんないけど、日本人ってそういうものなんだろうし。
 自分は、どうかなぁ。
 あ、いや以前実際に聞かれたことがあって、「あまり」は付けなかったと思うなぁ。
 言葉ってやっぱりおもしろいなぁ。
 
 (23:57)