刺激

 人生っていろいろと刺激がある。もちろん刺激だけでは疲れてしまうのだけれども、適度な刺激は自分を奮い立たせてくれるし、生活にもいいアクセントになる。刺激のない平和で穏やかでのんびりした暮らしもいいよなぁって思うときもないではないけれど(そして実際、そろそろ南の離島に隠棲したいなぁなんて思わないでもないけれど)、本当にそれを実行したら、ぼけるかもしれないよなぁ、根っからの東京人の自分としては。
 オーストラリアのどこかの島がやった(愛知県でも真似事のようなことをやった)、離島の管理人になるってような企画物だったら、離島とはいえただぐうたらするわけじゃなし、いろいろとやることもあるだろうから、ぼけることはないと思う。だけども、余生を送るのに十分なカネがあって(注:いまの僕にはそんなものはまったくないので、仮定の話)、八重山とかフィリピンとか南太平洋とかのどこかの離れ小島の、ごくごく小さなコミュニティで、釣りとか囲碁とか読書とか星空観測とかしながら過ごしていたら、生まれてこの方四十数年をこの忙しい東京で暮らしてきた僕には、やっぱり厳しいのかなと思う。ま、実際にやってみたら案外できちゃうんだろうし、こういう余生を選択して正解だったとほっとするのだろうけれど、東京にべったり張り付いているいまの時点で想像だけしても、なんつーか、見えてこない。
 もちろんそれを刺激のない生活だとはいわない。離島には離島なりの何らかの刺激がきっとあるはず。でも、種類はちがうよね、きっと。それが自分に向いているのか、いないのか。最終的にはやってみないとわからない。いまの自分には決められない。わからない。
 だけどねぇ……東京は故郷なので好きだけど、満員電車が好きなわけでも、新宿や渋谷の大混雑の雑踏が好きなわけでもない。むしろそれらは僕を必要以上にすり減らせるし、人間嫌いにもなりかねない。そういうのは、刺激とはいわない。それよりははるかに、静かで、人が少なくて、夜は真っ暗な状況のほうが、僕にとっては刺激といえると思う。うるせぇ刺激と静寂の刺激なら、僕は後者を選びたいな、やっぱし。
 
 (1日01:37)