イチローの大記録と痛いカレー

 イチロー前人未到10年連続200安打、とうとう達成された。
 7月の不調時など一時はどうなることかと思ったが、やはりイチローは偉大だった。もうひとつ、アメリカの報道(CNN)で、向こうでは軽視されているはずの日米通算安打数に言及していたのも、なかなかうれしいことだった。今後も着実にヒットを積み重ねて、ピート・ローズの4256本の記録更新の達成を(日米通算でいいから)祈るばかりである。ひとまず4年後、2014年のシーズンが、いまから楽しみでならない。
 イチローの記録達成に、実に複雑な痛みが伴っていることは、すでに以前からメディアでさまざまに報じられている。僕は彼の記録だけでなく、その痛みとの闘いにも敬意を表したい。
いたみカレー2 
 ともあれきょうはイチローの偉業を祝して、カレーの話題でも。先々週、大阪へ行ったとき、伊丹空港で「いたみカレー 〜激辛ハバネーロスペシャル〜」なるものを食べたのだ。名前のとおり、これが相当に辛そうな雰囲気を醸し出している。
 「いたみカレー」というネーミングも、きっと伊丹と痛みを掛けているんだろうと勝手に想像。お店のお姉さんに「これそんなに辛いんすか?」と尋ねてみたら、「かなり辛いという評判をいただいております」と大変丁寧なコメントをもらった。なぜそこまで丁寧になる必要があるのかはともかく、いやむしろ丁寧だったからこそ、僕は正直、すこしなめた。つまり、辛いといってもそれほどの辛さではないだろうと。
 出てきた品は、見た目はまあ普通のカレー。ただし、マーマレードらしきものが添えられている。舐めてみたらたしかにマーマレード。辛さへの期待を増幅してくれた。
いたみカレー1 で、ひと口。ん、なんてことねぇなと思った。しかしその刹那、じわじわと込み上げてくる激しくホットなテイスト。辛い、たしかに辛い。というよりは、たしかにこれはちょいと痛い。何口か運べば、ホットと書いたがむしろ冷たいような痛みが走る。添え物のマーマレードに手をのばし、口にひと含み。おお、なかなか。ちょっとなめすぎてたか。
 さらに食い続けると、涙がほんのりわいてきた。最近辛いものをあまり食していなかったせいもあろうか、耐性が下がっていて、やたらと痛い。たぶんいわゆる辛い食い物のカテゴリーからすればさほどのレベルではないと思うのだが、やっぱり辛い。平静を装いつつ、マーマレードを舐め舐め、涙を何度もふきながら、ようやく食べ終えた。
 空港といえば当たりさわりのない食い物が多いけれど、「いたみカレー」は空港の食い物としては珍しく、それなりに刺激的であった。伊丹空港においでの方、一度お試しのほどを。
 
 (23:20)