南アフリカ旅日記 〜day13&14 To Nippon〜

<7月4日・5日>
 南ア最終日の朝は静かに明けた。慌ただしさもなく、脱力感もなく、ただひたすら静かだった。
 駆け足で近づいてきた旅の終わりも、さすがにいざ出発の朝となれば、もう頭は半分日本に飛び始めているようで、意外なほどにバタバタしなかったのだ。
 とりあえず、シャワーを浴びて、ヒゲを剃った。
ケープタウン空港そばのホテル
ケープタウン最後の2泊を過ごしたRoad Lodge Airport Cape Town。空港のターミナル前から撮った写真なので、近さがわかると思う。後ろはもちろんテーブルマウンテン
 ケープタウン出発は正午近くだけれど、だからといってその2時間前には空港に戻ってこなけりゃいけないことを思えば、どこかに出かける時間はちょっとない。ゆっくりとホテルをチェックアウトし(目覚めだけは習慣で早かったけれども)、空港まで歩いて、搭乗手続きをして、荷物を預けて、あとはフリー。何度か行った空港内の店でイングリッシュブレックファストの朝食をとり、11時すぎには搭乗ゲートへ向かって、バスに乗って、タラップで乗り込んだ。南アにやってきたとき以来、ひさかたぶりの南アフリカ航空である。
1TimeとかKULULAとか
KULULA.COM航空(手前の緑の)、1Time航空(その奥)の機体越しにケープタウン空港の滑走路を見る
ケープタウンの空港内のWimpy
ケープタウン空港の搭乗ゲート近くにあるWimpy。英国資本のこのファストフードにも何度か行ったな(実は写真の店には一度も入ってないんだけども)
ターミナルからバスで遠ざかる
ケープタウン空港のターミナル
ターミナルからバスで遠ざかる。いよいよケープタウンともお別れ。少なくとも、ことしは……
帰りの南ア航空に乗る タラップで前が詰まったので、振り返った。ケープタウンはこの日もすごい晴れだった。
 僕らを乗せた南アフリカ航空332便は、たぶん定刻どおりに離陸した。さらばケープタウン、さらばテーブルマウンテン、さらば大西洋、である。次回はきっと、うちで待つ奥さんを連れてくるからね。
 
 ヨハネスブルクに着陸したのは午後2時ちょっと前。往路とちがって帰りの荷物は香港までダイレクトに行くので、ここではそのまま出国手続きに向かえばいいのだけど、ここは南アだからまちがって出てくる可能性もないではないと思い、332便のカルーセルでしばらく待った。TBSのクルーがいて、時々見かけるアナウンサーや、小倉隆史金田喜稔とかが荷物が出てくるのを待っていた。まあ彼らはまだ日本に帰らず、最後まで見ていくんだろう。
 僕らは帰らないといけない。出国して、土産のワインを買って、おとなしくゲートに向かって、南ア航空286便の機上の人となった。南アとのお別れはほとんどケープタウンで済んだ感じで、ここではさほどの感慨もなかった。まあ、ヨハネスブルクの空港自体はもう6度目だけれど、この街は歩いてないし、南ア到着初日にルステンブルクへの道すがら車で走った程度だから、とくに思い入れもなかったんだろう。
 行きの香港〜ヨハネスブルクはガラガラで、僕らは全員、2、3席をゆったり使えたから、カラダも伸ばせてラクだった。
 正直、帰りもそれを期待したけれど、機内は想像をはるかに超える混みっぷり、いや、満席。ほんと一席たりとも空いてない。帰りもゆったり……ともくろんでいた僕らの野望は、淡くついえた。
 午後4時30分、南アフリカ航空286便は香港へ向けて離陸。窓の外には夕闇迫るアフリカの大地が広がっていた。
 
 マダガスカル上空に達したときは、もうすっかり夜。このワイルドな島にも、いつかやってきたいと思う。それから広大なインド洋を越え、1月に金環食を見にきたモルディブ付近で赤道をまたぎ、タイ、ラオスベトナムインドシナ半島を通過。往路より1 時間長いおよそ14時間のフライトを終え、ほぼ定刻どおりに香港へ着陸した。時刻は7月5日正午すぎである。
 フライト時間でいえばニューヨークから日本への帰路のほうが長いのに、アフリカからアジアへダイレクトに飛べてしまうということが、実際に往復を終えたいまでもなお、信じ難かった。それほどまでに、「アフリカ」までの心理的距離は遠いということなのか。4年後は、物理的距離ももっと遠いんだが。
 さて、僕は香港でJALに乗り換えて帰る。ところがむこっちは、格安チケットで取った飛行機が翌朝早くとのことなので、この晩は空港近くのホテルに一泊するのである。荷物を受け出すついでに、僕もむこっちとともに香港へいったん入国した。外の暑さといったら! 真冬の南アから帰ってきて、いきなりモンスーンアジアの亜熱帯の、湿気に満ちた酷暑。でもその感覚が、アジアに帰ってきたんだということをかえって実感させた。
「じゃあ、次は日本で。そして4年後も、またよろしく」
 僕らは握手をして、香港のターミナル前で別れた。
 JALが出るのは午後3時ちょうど。さっき入国したばかりなのにまたすぐ出国して、弟への土産のセブンスターを買った。ふたたび機上の人となり、ひさびさに一番搾りヱビスを飲む。日本の味だなぁって思った。機内食はチキンカレーとうどんだった。
上空から見た台湾
JALの機中から見た台湾。そういや台湾って行ったことないんだよなぁ。こんど行こう
 成田に着いたのは夜の8時すぎ。京成とJRを乗り継いで、2週間ぶりのわが家に帰ったのだった。
 というわけで、2週間+αを一日一日書いていった南アフリカ旅日記。ずいぶんと長くなりましたが、最後までおつきあいくださりありがとうございました。また、次の旅で!(End)
 
 (18:40)