南アフリカ旅日記 〜day4 Cape Town〜

<6月25日>
 25日のちょうど午前0時になる頃、僕らは車でロイヤルバフォケン・スタジアムのパーク&ライドを出発した。
 考えてみれば、23日の午前にマカオのホテルをチェックアウトして以降、一度もベッドで横になっていない。マカオで遊び、香港に戻り、飛行機に乗ってヨハネスブルクまで飛んできて、さらに飛行機でケープタウンを往復し、ヨハネスブルクから車でルステンブルクへ、そしてデンマーク戦を観戦……25日の午前0時は香港時間で午前6時だから、マカオのホテルを出てから丸2日が経とうとしている。
 午前2時ちょっとすぎ、車はふたたびヨハネスブルクの空港に帰ってきた。往路は2時間半かかり、かなりの遠さを実感したものの、帰りはあっという間だった……眠ってたから。途中1、2度目が覚めた気はするけれど、ほんと気づかぬうちに2時間以上が経過していて、空港で目覚めたときには頭も案外スッキリしていた。
 これから空港近くのホテルへ……向かうわけではない。午前4時に発つ飛行機で、またもやケープタウンまで飛ぶのである。なぜなら僕らは本来、24日ケープタウンでホテルにチェックインして、そこに6泊する予定だったのが、急きょルステンブルクへの往復を盛り込んだのだから。
 ヨハネスブルクの空港に着いた僕らは、搭乗手続きを済ませたあと、ゲート内にあるパブでコーヒーやホットココアを飲みながら出発を待った。4時発のBA6345便は、6時すぎにケープタウン空港へ着陸。空港は深い霧に包まれていた。このとき隣に駐機するKULULA.COM航空のブブゼラ機体を撮った写真は、6月26日の日記に載せてある。
 空港のターミナルを出て、すぐ目の前にあるレンタカーポートへ。まだまだ霧に満ちていて、真っ暗である。AVISのオフィスに向かい、日本で予約してあった車を借り出した。いちばん安い料金で予約してあって、1日だいたい5000円くらい。日本の相場を考えれば高くはないけど、沖縄のレンタカーと比べたら安くもない。
レンタカーで借りたフォルクスワーゲン・チコ 車種はフォルクスワーゲンのチコ(右)で、オートマではなくマニュアル。マニュアル車を運転するのは数年ぶりだったけど、もともとマニュアル車好きなので、戸惑うことなく運転できたし、エンストも結局一度もしなかった。ただ、ハンドルがパワステではなかったから、駐車場など低速で旋回するときはむっちゃくちゃ重かった。
 霧がなかなか晴れなかったので、レンタカーポートの駐車場でしばらく待機。でも、7時になってもやっぱり晴れないし、まだ十分に暗い。南ア初の運転を暗い霧の中でというのは気が進まなかったけれど、いいかげん疲れていたので、見切り発車でホテルに向かうことにした。
 空港からホテルまでは、渋滞がなければフリーの高速を走って15分程度。おっと、渋滞がなければと書いたが、もうひとつ、道をまちがえなければというのもある。そして実際のところ、道をまちがえた。というより、曲がるべきところで曲がれなかった。仕方ないのでそのままいったんケープタウンの市街地まで走っていき、大回りして戻ってきたら、ホテルに着いたのは8時を回っていた。
 ここでひとつ問題が発生する。ホテルの駐車場で止めようとするも、ギアがバックに入らない! 何度試してもうまくいかないので、仕方ないからニュートラルに入れて、むこっちととっきーに押してもらった(笑)。そんなこんなで朝の8時すぎにようやくチェックイン。フロントの女性は「チェックイン? この時間に?」と驚いていた。「いや、ちゃんときのうから予約を入れてあるんですよ。事情により到着が今朝になっただけで」と説明すると、すぐに納得。僕らは晴れて……丸2日以上ぶりにベッドで眠ることができたのだった。
 
 泊まったのは「City Lodge GrandWest Hotel」というところ。ケープタウン中心部の宿は前述のようにこの時期どこもいっぱいか、空いていてもかなり高めの価格設定、あるいは連泊制限(ある日数以上でないと予約できない)があったので、最初は宿探しに困っていた(B&Bもよさげなところは混んでいた)。そんなある日、現地で旅行会社を運営している人がmixiのコミュに書き込んだ情報で、City Lodgeというグループのホテルなら安く確保できるとあったのを見つけた。
 その人はダーバンのCity Lodgeについて書いていたのだけど、調べてみると同チェーンはケープタウンにもある。料金はツインで1泊1000ランド。1ランドはいま約12円だから、2人で泊まれば1人あたり6000円とリーズナブルだった。City Lodge GrandWest Hotelケープタウン中心部からは車で20分程度とアクセスも悪くない。おまけにここの駐車場は試合開催日にパーク&ライドになるから、警備もしっかりしているだろう。さっそく検索してみたら空いていた。もはや迷わず、南アでの全10泊中最初の6泊をここに決めたのだった。
 「GrandWest」とは、ケープタウン周辺で最大のカジノを中心としたエンターテインメントスポットだ。24時間やっているカジノに加えてレストラン街やフードコート、ゲームセンター、アイススケートリンクまである。ホテルはそのGrandWestに隣接しているわけだから、試合日以外の通常時もセキュリティが整っていて、夜遅い時間でも安心して食事できるだろうという読みがあった。
 実際に行ってみると予想どおり、いや予想をはるかに超えて、市民の憩いの場みたいなところだった。昼も夜も、子ども連れの家族がいっぱい歩いている。ホテルはそのGrandWestの巨大な敷地内にあって、広大な駐車場の入り口には24時間警備員が常駐しているし、カジノやレストラン街が収まるメインの建物に入るには入り口で金属探知ゲートをくぐる必要もある。つまり、セキュリティが二重で保たれているということだ。少なくともGrandWestの敷地内にいるかぎり、日本とまったく同じ感覚で夜にふらふら歩いていても、問題は何ひとつない。
 値段の安さに加え、このように懸案のセキュリティ面でも不安がまったくなく、食事にも不便がないため、満足度はきわめて高かった。急きょ参加したとっきーも、当然このホテルに部屋を取った。彼は1人利用だから1泊12000円になるけれど、それでもケープタウンの宿事情を考えれば悪くないだろう。もちろん、うちらと同じ宿というのも安心材料になったはずだ。
 GrandWestのホテルにチェックインして、昼すぎまではとにかく寝た。午後に目覚め、ホテルの近辺を軽くドライブしてみたあと、この日は休息に充てようということになり、GrandWestの中をブラブラ。午後の遅い時間から夕方にかけてシーフードの店でビールやワインを飲みながら、エビ、カラマリ、貝、白身魚などのグリルやケープタウンのカレー料理を楽しんだ。
GrandWestのPVで観戦 この日はグループリーグの最終日。シーフードとカレー料理を満腹食った後は、GrandWest内にあるパブリックビューイングに行き、G組のブラジル・ポルトガル戦を観戦した。本来であればダーバンのスタジアムで生で見ていた試合だ。夜も部屋のテレビでスペイン・チリ戦を見るなど、一日とにかくゆったりと過ごしたのであった。(day5へ続く)
 
City Lodge GrandWest内のレストラン
City Lodge GrandWest内のレストラン。

外には小さなプールがあり、その向こうには

テーブルマウンテンを眺めることができる

 
 (13:32)