テーブルマウンテン

 明けて27日は、早朝7時に宿を出て、テーブルマウンテンに向かった。
 テーブルマウンテンは、ケープタウンの象徴ともいえる岩山である。標高1087mの岩の塊が、ケープタウンの市街地の背後にそびえ立ち、ケープタウンのどこからでも見ることができる。「テーブルさん(山)座」の名で88星座のひとつにもなっているくらい。とにかくその姿の壮大さは、胸をすくというか、この山を見るためだけでもケープタウンにくる意味がある、とさえ思えてくる。
 前日の喜望峰へ行った日は、この山の頂上にずっと雲がかかり、おそらくロープウェイは動いていなかったんじゃないかと思う。仮に動いたとしても、上から何も見えないんじゃしょうがない。ここは天気が変わりやすいことでも有名で、登れないことも多いようだ。
 27日は、とっきーが帰国するので、彼の飛行機に間に合わせるために早朝の時間帯を選んだのだが、これが大正解。まだ暗い空を見上げると雲ひとつなく(ちなみにこの前の晩は南十字星が実にきれいに見えた。まあ晴れてれば普通に見えるんだけど)、ホテルの駐車場から見ると満月の下にテーブルマウンテンの岩塊が煌々と輝いていた。
 
中腹のロープウェイ乗り場
テーブルマウンテン中腹のロープウェイ乗り場。W杯出場国の旗が並んでいる。この時期、どこへ行ってもこれを見ることができ、南アの歓迎ぶりを肌で実感した
 
 中腹まで車で登って、そこから先はロープウェイ。8時半から動くのだが、8時前に到着してこれまた大正解だった。日曜ということもあるし、なにせ世界的な観光地だから、うちらが到着したあと、次から次へと観光客の車がやってくる。すぐに駐車スペースは満杯になった。
 ロープウェイは床が回転する粋な仕様。一カ所に立っていても360度を展望することができる。そしてわずか5分で、1087mの頂上に到着した。
 頂上が平らになっているからテーブルマウンテンというのだけども、ここからの眺望は、まさにHow Magnificent! 眼下にケープタウンの市街地を一望できるだけでなく、北には遠くの山並み、大西洋にはネルソン・マンデラが18年間収容されていたことで世界遺産になっているアパルトヘイトの負の象徴、ロベン島、そして南を見れば遠くケープ半島の先端、つまり喜望峰のほうまで見通すことができる。この朝は本当に雲ひとつない快晴で、その素晴らしさといったら上回るものを探すのが難しいほどだ。ケープタウンに、いや南アフリカにきてここを訪れないなんて、ありえない。
 
テーブルマウンテンからの眺望1
ケープタウンの市街地を見下ろす。W杯会場のグリーンポイント・スタジアムや、ロベン島もよく見える
テーブルマウンテンからの眺望2
下をのぞくと、ほんと足がすくむ。1000m下の街をほぼ垂直に見下ろせる場所なんてそうそうあるもんじゃないと思う
 
 ケープタウンではここまで日本人にまったく会っていなかったのだけれど、ロープウェイ乗り場で日本人ガイドのを連れたカメラマンと話すことができ、頂上ではお互いの写真を撮ったり、いろいろ話がはずんだ。名残惜しくも、とっきーの飛行機の時間があるので、1時間ほどで頂上を降りる。空港までとっきーを送り、昼飯を食って(きょうはタイ料理)、夕方は例によってテレビでW杯観戦。イングランドの敗退と世紀の誤審を見た。
 テーブルマウンテンにこの時期にくるなら、朝イチをおすすめしたい。混雑対処の意味もあるけれど、日の出が7時半すぎだから、ロープウェイの始発を待つ間に、ケープタウンの向こうの山並みから登るアフリカの朝日を存分に拝むことができるので。
 これがまた素晴らしい。テーブルマウンテンが少しずつ赤らみ、色を変えていく。街に活気の光が差していくのを、天上から眺めているような気分になり、それもまたなんともいえず感動的だ。
 
ロープウェイの頂上駅
ロープウェイの頂上駅はこんな感じ。天上の岩の砦の趣である。その向こうは、遠くグリーンランドまで続く大西洋
 

テーブルマウンテンは、まさにケープタウンのどこからでも眺められる。写真はホテルの駐車場から見た姿
 
 さて、まもなくアルゼンチン・メキシコ戦がスタート。先ほどのドイツ・イングランド戦の勝者(すなわちドイツ)とこの勝者が戦う7月3日のケープタウンのゲームは、すでにチケットを確保してある。
 
 (南ア時間27日20:24)