プラハの夏

 昼すぎにドレスデンでむこと別れ、鉄道で2時間強、チェコプラハにやってきた。列車はエルベ川上流に沿って走っていく。このあたりは川岸に岩山がそびえ立つところが続き、緑と川とその岩山の織り成すゆるやかなコントラストがすばらしい。
 プラハ到着は午後4時頃。プラハハンブルクよりはかなり南で、ベルリンよりも南だけれど*1、例によって9時くらいまでは普通に明るい。10時でも夕方の雰囲気だから、4時だと実質的にまだ半日近くは昼がある感覚。しかも、きょうのプラハは暑く、陽射しがまぶしい。
 ヴルタヴァ(モルダウ)川に浮かぶ船を利用した宿にチェックイン。水上ホテルとはいってももちろん高価なところではなくて、かなりリーズナブルな宿だ。フロントのおねえさんもけっこう無愛想(笑)。でも悪くはない感じ。
 で、その宿に荷物を置き、さっそくプラハの街を歩いた。こういう石畳の街は、歩いているだけでもほんと心地よい。なんでもない小さな街角で立ち止まり、写真を撮りまくる。……と、それはいいのだけど、どうも街に人がいない。どの街路もがらりとして、静けさが漂っている。土曜の午後とはいえどうしたのかと不思議に感じながら、どこへ行っても石畳で埋め尽くされたプラハの街をしばし歩き回っていると、静かな街の奥のほうから、大人数のどよめきのような音と空気の震えが伝わってきた。
 その方向に向かって進むと、すぐに音の正体に気づく。街のど真ん中の、教会をはじめとした古い建物に囲まれた石畳の広場に、でっかいスクリーンが用意され、この静かな街にこれほどの人間がいたのかと思うほどたくさんの人々、ドイツ国旗を掲げたりスウェーデンのユニフォームを着たりした両国のサポーター、観光客、地元の若者やおばあちゃんやおじちゃんや、とにかくたくさんの人々が集まって、スクリーンで繰り広げられる戦いに一喜一憂していた。いかにもヨーロッパの古都らしい石畳の街の真ん中に出現したパブリックビュー会場。周囲にはチェコビールやソーセージ、焼き鳥のおばけみたいな串焼きなどを売る屋台が立ち並び、もうお祭りそのもの。広場の周りでは馬車ものんびり歩いている。その場にいるだけで、なんとも楽しい気持ちになる。僕も屋台でチェコビールとソーセージを買い、決勝トーナメント初戦、ドイツ‐スウェーデン戦を楽しんだ。
 試合が終わって、街のレストランでチェコビールを飲みつつ鶏肉料理を平らげ、宿に戻ってデッキでまたもやチェコビールを飲みながらメキシコ‐アルゼンチン戦を見ている。先ほど前半終了。外はまだ薄明るく、川向こうの西の空はきれいな夕焼けだ。あしたも暑くなるだろうか。
 
 (チェコ時間24日21:55)

*1:いうまでもないが夏の北半球では北に行けば行くほど昼間の時間が長くなる