「The Other Side of Love」

 あしたから沖縄だというのに、きょうはなぜだか気分が暗い。仕事が思うようにはかどらないから? いや、そういう実務的なことが理由じゃない。さっき、KinKi Kidsの「全部だきしめて」とLe Coupleの「ひだまりの詩」、そしてこの「The Other Side of Love」を聴いたからだ
 日本テレビ「ストーカー 逃げきれぬ愛」の主題歌だったこの曲。まだそれほど昔ではないから、おぼえている人もたくさんいることだろう。もちろん中谷美紀のではなく、“Sister M”(坂本龍一の娘・坂本美雨)があの怖いくらいに澄みきった声で歌う英語版のほう
 1997年12月26日の「印象の小匣」でこの曲を取り上げていて、そのときはこう書いている。「まだ、まだまだ、この曲のもつほんとうのなにかを、ぜんぜん、つかめていないのかもしれません。それほど、深く、深く、じぶんの胸を、えぐった音楽でした。....それにしても、なんて、ふしぎな、声、なんだろう。深い深い森の奥の、暗い暗い鏡のように水面がそよともうごかない、ちいさな、みずうみのような」。当時、僕は28歳。この日は29歳になる9日前のことだ。あれから7年半が経過したいまの僕が、“愛のもうひとつの側面”をつかめたかというと、たぶんまだできていないだろうと思う
 この2日前には「ひだまりの詩」を扱っていて、そこには「よくもわるくも、ぼくの1997年を象徴する曲のひとつでした」と書かれている。1997年の僕は1997年の僕なりに、いろいろあったようだ。 <坂本龍一 featuring Sister M「The Other Side of Love」/1997年>
 
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