海から韓国

 明けて4月6日になっている。
 振り返ると4日の夕方、対馬北端の比田勝港から高速船KOBEEに乗り、韓国・釜山(プサン)へ渡ってきた。飛行機や鉄道はもちろん、バス・車・歩きでも国境を越えたことはあるけれど、考えてみたら船では初めてだ。
 釜山まで50km程度と妙に近い比田勝からの所要時間は1時間10分弱。まさにあっという間の感覚で、心地よい揺れに途中居眠りして、はっと目を覚ますともう韓国が見えてきた。
 釜山港というとどうしてもチョー・ヨンピルと渥美二郎のイメージだけど、さすが東アジアの物流の拠点になっているだけあって、こりゃすげぇわって感じの実にデカい港湾だった。
 その日は、港に近いし安いしってことで、歩いて10分ちょっとの東横インに泊まった。蒲田発祥の東横インだけども、韓国でもなかなかがんばっているようだ。宿泊客は日本人ばかりかと想像してたらそうでもなく、韓国の人も多く、中国や欧米系の人たちもいた。
 夜は裏手の道をブラブラして、適当に選んだ食堂に入り、ハングルしかない壁のメニューからカルビタンを注文。店のおばちゃんは日本語も、当然英語もわからない、僕はといえばハングルは読むことだけはできるけど、会話はできない。そんな状態でも笑顔で「ありがとう」といえばどうにでもなるもんだ。それまでブスッとしてた感のあるおばちゃんも、ニコッとして韓国語で返してくれる。あらためていうまでもなく、笑顔はコミュニケーションの基本ですよ。
 2日目の5日は、レンタカーを借りた。韓国では花見シーズンなのに予約してなかったので、やや高い車種しかなかったのは残念。でもそのぶん快適にドライブできるでしょ。
 韓国は左ハンドル右側通行なのがありがたい。最近、ヨーロッパでも中東でも左ハンドル右側通行ばかり運転してたので、ひさびさの右ハンドル左側通行となった対馬ではけっこう慣れずに戸惑ったから(笑)。もともと僕は左ハンドルが好きみたいね。
 釜山の街から高速に乗って、向かうは慶州(キョンジュ)。ここは街中と周辺に3件の世界遺産がある、まあ僕の仕事的にもマストな街だ。韓国の世界遺産というとこれまでソウル周辺のところにしか行ってないから、南部の慶州はもちろん初めて。
 まずは慶州の街中にある「慶州歴史地域」。数多くの古墳が並ぶ大陵苑、新羅時代の城跡・月城(半月城とも)、天文台跡の瞻星台、宮殿跡の遺構である雁鴨池、国立博物館などを巡ってきた。
 続いては「石窟庵と仏国寺」として世界遺産に登録されている2つの寺も訪れ、これで慶州周辺3件の世界遺産のうち2件を訪問。そしてきょう6日は、3つめの「大韓民国の歴史的村落:河回と良洞」の良洞村を朝から回ってから、午後には釜山に帰ってレンタカーを返し、3時発の高速船で福岡に戻ろうかと。
 問題は、日本海西部付近で低気圧が異様に発達し、九州北部は荒れ模様になりそうだという天気予報が出ていること。もしこれがほんとになると、海は大しけで、欠航の憂き目を見ることになる。
 まあべつにこちらとしては欠航で1日くらい長く釜山にとどまってもかまわないのだけど、いちおうきょうは夜に福岡の友達および那覇から福岡に飛んでくる友達と呑もうって話になってるから、できれば無事に出航してほしいんだよねぇ。大揺れになってもいいからさ(笑)。
 てなわけで、順調にいけば、本日夕刻には福岡にいることになります。玄界灘の取れたて新鮮なピクピク動くイカをまた食いたいけど、海がしけたら漁には出ないだろうなぁ……悪い天気予報が杞憂に終わりますように。
 
 (韓国時間2:59……日本と同じだけれどw)