終了、そして続く
日本、準決勝でプエルトリコに敗れました。
まあ残念ではあるけども、なんというか、試合終了の瞬間、どことなくスッキリとした感じもあったのですよ。
感じもあったというより、ほとんどそれだけが心の中にあったのかな。
ほんのわずかの残念な気持ち。そして残りの大部分を占める、スッキリとした気持ち。
悔しさとか、だから全然なかったといっていいと思う。
もともと、この日記でも書いたけれど、今回の日本代表は優勝はとても無理だろうと思っていたわけです。
優勝どころか、準決勝進出も危ういと。2次ラウンドで敗退する可能性もけっこうあるだろうな、と。だから日本のいたPOOLでは、開幕前はキューバと韓国が準決勝に進むだろうと考えていたわけで。
でもまあキューバがオランダを天敵にしすぎたことや、韓国が自滅したこともあって、日本は準決勝にコマを進めることができた。それはやっぱり日本代表もそれなりに強かったとは思う。でも台湾戦であすこまで苦戦してようやく勝ち上がれたように、ま、この程度かなと。運も強かったと。
この先はちょっと、準決勝は勝つかもしれないけど、決勝ドミニカ相手は厳しいでしょうと。
準決勝でドミニカではなくプエルトリコと対戦することになって、どこか期待しちゃったところはいうまでもなくたしかにあるけども、「これで優勝だ!」とはとてもじゃないが思えなかったんですよ。がんばってほしかったし、実際に彼らはがんばっていたけども、前の2回のようにはこちらは盛り上がらなかったんだな。
だからね、前回のWBC優勝のあと、次回はアメリカに行こう、そう考えていたけれども、いざ始まると盛り上がりを自分の中であまり感じられずに、結局行かなかった(一回だけSF行きの航空券を調べたことはあったけど)。現地へ行って応援すれば、勝とうが負けようが楽しいから、行かなかったことが正解とはいわないけれど、まあ、べつにいいや今回は、とね。
それに、もうひとつ。WBCが今後も続くと考えたとき、3回の歴史のうち2回を連覇した日本が今回も優勝して、3連覇を達成したとして、いやもう次があまりにキツすぎるでしょう。
勝ち続けることなんてできない。それはやっぱりムリ。仮に今回優勝したとしても、いつかどこかで負けなければいけない。もし3連覇しちゃったら、次の、あるいはその次の大会で優勝を逃す日本選手は、なんというかかわいそすぎる。自分が(あるいは自分たちが)、日本の流れを止めてしまったと、必要以上に過剰に思い込んじゃうでしょう。
それならば、今回負けるのは、日本野球の将来を考えても悪いことではなかったんじゃないかな、だから気持ちが案外スッキリしてたのかな……なんてことを、考えないでもなかったのです。なんつーか。
でもまあ選手たちは一所懸命やったし、そりゃ悔しいよね。やってる本人たちがいちばん悔しいのはそれは間違いない。
とくに内川や阿部は、相当悔しいと思う。彼らだけじゃなくてみんながみんなだけれども、たぶんとくにこの二人は。
ベイを捨てて、後味悪い出方で出ていった内川は、憎らしいと思う気持ちはあって、いまレギュラーシーズンで内川が打席に立っていてもあえて画面を見ないようにしている僕だけれども、きょうの敗戦のあの役回りは苛烈すぎる。サインがサインだけに、余計にね。試合後のインタビューでも、泣いていたね。
泣くな、内川。
ま、そう言いたいかな、いまは。
準決勝もう一試合はあした、ドミニカ共和国とオランダ。ドミニカは強い。でもオランダにはがんばってほしい。
決勝がオランダとプエルトリコなんかになったら、こりゃおもしろい。そして日本に2度負けて、しかも1度はコールド負けしたオランダが優勝しちゃったら、いやはやこんなにおもしろいことはない。
ま、ドミニカが勝つんだろうけどねぇ。
それにしても、前々からわかっていたことだけども今回さらに鮮明になったのは、現在のベースボールの中心はやっぱりカリブ海だってことだ。ドミニカ、プエルトリコ、オランダ(選手はカリブ海のオランダ領の島出身者が中心)、そしてキューバも。
これに対して日本が、ベースボールとはまた違った野球の中心地として今後も勢力を保ち続けられるか、あるいはもっともっと発展できるか。
……楽しみ、だけれども、怖くもある。
(23:18)