ストックホルムのこと

 今回の北欧旅行、3月1日夕方にデンマークコペンハーゲンに到着し、4日まではコペンハーゲンの街中や郊外のロスキレ(世界遺産の大聖堂がある)、電車で小一時間のヘルシンオア(ここも世界遺産クロンボー城がある)などなどを巡った。4日夜にトラブルがありつつもスウェーデンのマルメに向かい、その晩の夜行寝台列車ストックホルムへ。ここまではすでに日記でも書いた通りである。
 
 ストックホルムは5日早朝6時すぎに到着。駅近くのホテルに行ったら、うれしいことにもう入っていいとのことで、部屋に荷物を置き、シャワーも浴びたりしてから街中へ繰り出した。
 まずは腹ごしらえ。カフェに入ってスモーブローとコーヒーで朝食。スモーブローはこの旅で結局5回食べたのであった。
 デンマークの伝統料理として知られるスモーブロー(Smørrebrød)は、スウェーデンでも一般的なようで、このあとのアイスランドでも普通に見られた。薄くてやや硬い黒パンやライ麦パン(ヨーロッパでよくあるやつ)の上に、基本はやっぱり海産物。大きなサーモン、山盛りシュリンプ、ニシンの酢漬け、白身魚のフライ、あとは野菜……そんな感じだった。魚と野菜がベースだからなかなかヘルシーで、朝でも心地よく食べられるのがいい。コペンハーゲンでは寿司を意識したと思われるスムーシ(Smushi)というメニューを出す店もあった(ロイヤル・コペンハーゲンの隣にあるロイヤル・カフェで、なんと店名もロイヤル・スムーシ・カフェに変更されていた!)。まあ寿司を意識しているといっても下に敷いてあるのはご飯ではなく、例の薄いパンなので、要はスモーブローなんだけども。
 朝の時間なので、出勤前かな?という男女がやはりスモーブローとコーヒーで新聞を読んだりiPadをいじったりしている。こっちではなぜかコーヒーとオレンジジュースを一緒に飲んでいる人が多い。他の欧米諸国でも見られることがある光景だけれど、あれはいったいなぜなんでしょ。おなかの中がとっちらかっちゃう感があって、個人的にはややイマイチ。
 
 カフェを出たあとはストックホルム市庁舎(ノーベル賞授賞式が行われるところ)を見学したり、メトロに乗って郊外のスコーグスシュルコゴーデン(森の中にある世界遺産の共同墓地)を訪れたり、旧市街のガムラスタンをブラブラ散策したり。ノーベル博物館にも行って、カフェに置いてある山中伸弥さんのサインが入った椅子を写真に撮ったりしたよ。博物館自体はそれほどおもしろいところでもなかったけどね。
 朝早くから積極的に動き回ったので、夕方には疲れた。いったんホテルに戻ってちょこっと休んでから、夕食。そろそろ和食が食べたいよね〜ってことで、街を歩き、見つけたのが神州飯店なる店。なに、飯店ってば中華でしょ、と気づいたアナタは素晴らしい(誰でも気づくか)。文字通り中華なんですけども、この店の前に「SUSHI BUFFET」という看板が出ているのを見逃さなかった。
 中華料理店なのに寿司や焼き鳥も扱っているのは、欧米では珍しくない。要はアジアンごちゃまぜ状態。もうちょい本格的な寿司屋だと、ただでさえ日本より物価の高いストックホルムにあってさらに高かろう(その割に日本でのようなクオリティーを期待できないことは間違いない)ってことで、意を決してこの神州飯店に入ったってわけ。そもそも、コペンハーゲンに着いて最初の晩飯(タイカレー)以来コメを食ってなかったから、まあどんな寿司でも、あるいはチャーハンでもマーボー飯でも、コメが食えりゃなんでもいいぜって気分でもあったし。
 で、席に着いて中国系のやさしそうなオバチャン店員にバッフェを注文。寿司や中華やタイフードらしきものがふんだんに並ぶ中、われわれは真っ先に寿司コーナーへと向かい、サーモンやボイルエビやアボカドや太巻きを皿に山盛り取ってきたのであった。醤油はヤマサとキッコーマンの2つの瓶がなぜか用意されていて(中身はおそらくどちらも同じだと思うけれど)、まずはヤマサの瓶からついだ。
 手始めに、サーモンの寿司をひと口……これが案外うまい。そう考えてみれば北欧はサーモンが取れるし、日本でも回転寿司屋に行けばノルウェーサーモンなんかが普通に置いてある。そりゃまあうまいわけだ。アボカドの握りはともかく(べつにまずくはないけれども)、太巻きもうまくて、結局サーモンだけでも10個は食ったかな。小ぶりだったので、もっとかも。寿司コーナーの寿司がなくなると、すぐさま中国人店員がやって来て補充している姿もシュールでよかった。
 ほかにチャーハンやタイカレーも食って、大量のコメで大満足のディナーになったのであった。隣のテーブルでもフランス人カップルが寿司を照準にがっついていたのが楽しかった。
 明けて6日は昼前にストックホルム・アーランダ空港へバスで向かった。スウェーデンは夜行列車も含めて2泊と、半ば通過に近い感じではあったけれど、それでもけっこう充実していた。この国には世界遺産もいろいろあるし、次はゆっくり来るだろう。
 そしてこの旅、次はいよいよアイスランドへ! そんなわけで、また次回へ続く……
 
 (12:45)