ことしも正月は箱根駅伝

 箱根駅伝は、見る側も試される。
 応援する大学があるとする。調子が良くてトップで襷(たすき)を受け渡したけども、2位とのタイム差は1分20秒という微妙なもの。しかも相手の選手は実力的に、応援する大学の選手よりも高いことがわかっている……
 こんなとき、追ってくる選手の調子が良くなければいいなぁとか、途中で何らかの事情でガクンとタイムを落としてほしいなぁとか、そんなことを願ってしまうと……応援する側の大学の選手が調子が良くなかったり、途中でタイムを落としたり、トラブルが発生したり、あるいは相手の選手が超超調子よかったりしてしまう。
 つまり、バチが当たる。そんなこと、願っちゃいかんのだよ。そう言い聞かされているかのよう。箱根駅伝を見始めて何十年かになるけれども、いまでもついついそんなようなことを願ってしまって、そうして応援してる側の大学の選手がスローダウンしたりブレーキになっちゃったり、なんてことが繰り返される。
 走る側が大変なのは当たり前。見る側も試されるんですよ、箱根駅伝は。
 でもね、不思議なことに、その場その場では「ああこの子にがんばってほしいなぁ」「ここはこの大学に巻き返してほしいなぁ」と願ったりするけれども、レース自体の結果については、意外と何でもいいというか、何でもいいというといい加減みたいだけれどそうではなくて、どこの大学が勝っても負けても素直に拍手したくなる。ほんと不思議なもんだ。
 走っている彼らにとって箱根駅伝が正月好例の大一番であるのと同じように、箱根駅伝のコースである東海道沿いで生まれ育ち、子供の頃から沿道に出て応援してきた僕にとっても、箱根駅伝は正月に欠かせない恒例行事なのだよね。スポーツ、戦いというよりも、まずはなんといっても恒例行事。
 だから、2日に箱根駅伝の号砲が鳴り響かないと正月はやって来ない気がするし、3日に沿道で最後のランナーを見送った瞬間に自分の正月も終わった気がする。沿道で見終わったあと、家に帰って続きをテレビで見ることもあれば、そのまま川崎競馬場に向かって正月競馬を楽しむこともある。ラジオで結果を聞くこともあれば、夜のニュースまでどこが勝ったのか知らずにいることもある。
 いずれにしても、結果は、さほど気にならない。とにかく正月になくてはならないものであって、沿道で自分の目で見なければ正月を実感できないものではあるけれども、勝敗自体はどうでもかまわないというのが、僕にとっての箱根駅伝なんだな。きっと。
 
 例年であれば復路は蒲田で沿道応援するのだけれども、きょうは出掛けに急きょ思いついて、品川神社の前で応援することにした。
 品川神社は結婚式を挙げたところだから、まあ、特別な場所で、特別な思いで見守ったことしの箱根駅伝、という感じかな。そうそう、いつかは宮の下の富士屋ホテルの前あたりで沿道応援したいなぁなんてずーっと前から思っているんだけども、いまんとこ一度もそれはやってないっていうのが、ちょっと残念ではあるけど自分らしいかもしれない気もする。
 正月は家にいるものなんだよなぁ、なんとなく。うちの場合、僕の実家が蒲田で奥さんの実家が東京湾を挟んだ木更津だから、大晦日から正月にかけて双方の実家をカンタンに行き来できる。それもあって、正月はどこかへ出かけずお互いの実家でゆっくりしようって感じなのかも。
 でもまあいずれそのうち、箱根に泊まって沿道応援というのも、してみたいよなぁとは思うんですよ、やっぱりね。正月2日の富士屋ホテルとかあの辺りの旅館が予約取れるものなのかどうか、全然知らんのだけれども。
 
 ああ、そうそう。結果に関していうと、僕の母校は5位。最後、デッドヒートで競り負け5位になったらしい。で、競り勝った4位は弟の母校。弟の母校はきのうの大学ラグビー準決勝でも僕の母校に圧勝しているので、まあ、兄としては弟にやられっぱなしの正月なのでありましたとさ……べつにそんな母校愛とかないけれどね(笑)
 
 (22:48)