最後のモーニング娘。

 僕が知っている最後の(といってもいいだろう)モーニング娘。吉澤ひとみさんが卒業した。きょう(日付的にはきのう)、さいたまスーパーアリーナのコンサートでのことだ。
 前日の土曜の晩、やすがチケット1枚余っているというので、もらって、急きょさいたまSAに行ってきた。府中でちんめちゃん、ドラゴンと大荒れのNHKマイルCを見て、最終レース後1時間ほどちんめちゃんと酒を飲んで、その足でさいたまに直行。武蔵野線から南浦和京浜東北線に乗り換え、会場に入ったのは開演の10分くらい前のことだった。
 歌われた曲はほとんどが知らないもので、知っている曲でも歌っている人が知らない人かなじみのない人ばかりなので、どれも知らない曲に聞こえた。あるいは、どこかそらぞらしく聞こえた。まあそれはそれとして、吉澤ひとみさんは卒業コメントも堂々としていて、貫禄があって、ウイットも利いていて、立派だなと思った。かつてモーニング娘。に入った頃は、あんなに頼りのない子だったのに。7年という時間の流れを感じた。
 
 僕が「モーニング娘。」だと思うのは、2000年春加入の4期メンバーまで。4期というのはきょう卒業した吉澤ひとみさんと、あとは石川梨華さん、辻希美さん、そして加護亜依さんの4人、いわゆる黄金期に入ったメンバーまでだ。
 そのあと、2001年秋加入の5期メンバーとなると、もう僕的にはモーニング娘。じゃなかった。こういう言い方をしたらファンの人には申し訳ないけど、5期の子たちはいままで一度たりとも、僕はモーニング娘。だと本気で思ったことがなかった。むしろ入った頃から、4期までの充実した黄金期を“ジャマされた”と感じていた。これは悪口じゃなく僕自身の正直な気持ちなので、勘弁してほしい。
 5期でもそうなのだから、ましてや6期ともなれば言わずもがな。6期メンバーでも藤本美貴さんはもちろん知っているけど、彼女はモーニング娘。というより、やっぱりあくまでハロープロジェクトのソロ歌手というイメージが強いから。さらに7期、8期もいるらしいが、その辺は顔も名前も何も知らない。知りたいとすら思わないのが正直なところ(ファンの方たちには、ほんと、すみません)。
 まあともかく、僕が“知っている”最後のモーニング娘。が卒業し、これで、僕にとってのモーニング娘。が終わった。いやそもそも2004年の夏頃以降は曲も全然知らないし、2005年春の矢口真里さん脱退と石川梨華さんの卒業を待つまでもなく、大筋として僕にとってのモーニング娘。はすでに終わっていたのだけれど、この日の吉澤さんの卒業で、完全にピリオドが打たれた、そういう感じ。
 コンサートでは、僕が知っている曲では「LOVEマシーン」や「恋愛レボリューション21」「I WISH」などが歌われた。でも、あの頃の人たちがいないと、「LOVEマシーン」を聴いても「恋レボ」を聴いても、たぶんモーニング娘。の中でいちばん好きだった「I WISH」を聴いても、もはやモーニング娘。の曲とはまったく感じられなかった。それはちょこっとさびしいことでもあったけれど、まあ、仕方がないといえば仕方がない。だって、もういないんだもの。矢口さんも、石川さんも。何を見ても、何を聴いても、そこにかつて矢口さんや石川さんがいたんだと感じることは、なかった。
 皮肉なことに、コンサートが終わって会場に流れたインストゥルメンタルの「ハッピーサマーウェディング」が、きょう僕が聴いた中で唯一、あの頃のモーニング娘。を思い出させてくれるものだった。コンサートが終わったあとの、誰も歌っていない、メロディーだけの「ハピサマ」が。
 それでも、チケットをくれたやすには感謝している。いい経験を、させてもらった。
 この、ひとつの時代の終焉に。
 
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