9月の電磁波と8月の流星群

 まあ、9月になった。
 9月1日が雨だったのは、いつ以来のことだろう。
 8月が終わって9月に入るこの日、あるいは関東大震災のメモリアルであるこの日、僕としては、なぜかこれまで雨が降った記憶がない。
 もちろん単なるイメージの問題で、実際にはよく降っているのかもしれないけれど。不思議なことに僕の中では、9月1日は常に晴れなのである。
 
 ここ数日体調がすぐれず、きょうも昼間は実家の部屋でカーテンを六割方引き、薄暗い中で寝転がりながら、そぼ降る雨の音を聴いていた。
 それはとてもやさしくて、思いやりのある雨の音だった。体調がよくないとき、9月の初めのやさしい雨の音は、さらにやさしく、まるで僕を看病してくれているひとの穏やかで規則的な吐息のようにも感じられた。
 済ませなければならない仕事があったけれど、無理に起き上がるのもどうかと思い、数時間、そうして横になり安らいでみた。
 体調がよくないときに似合わない表現だけど、いい午後だった。
 
 話は変わる。
 AMラジオを聴きながら歩いていると、街中の電磁波の多さに気づく。
 エレベーターの中やエスカレーターは、ノイズだらけ。ガーガーピーピーうるさくてたまらない。自動ドアや自販機の横をさっと通るだけでもラジオは影響を受けてしまい、ダメ。電柱がどうのこうので白装束をまとう宗教があったけれど、まあたかが電磁波を宗教的に考えることの是非はともかくとして、街中にラジオを妨害する電磁波がやたらと多いことは事実のようだ。
 もちろんそれを言ったら、自然界はそもそもが電磁波だらけで、太陽光線だって電磁波なのだけれどもね。
 
 そうそう、また話は変わるけれど、先月中頃、ペルセウス座流星群を見たよ。
 見たのは極大日が過ぎたあとで、しかも都会からだから数えるほどだけだったけど、それでも流れ星を見るというのは実にいい気分。
 ペルセウス座流星群は、いまから21年前の8月、小笠原は父島から東京へ帰る船の甲板でものすごいのを見た。真っ黒な夜空に次々と、次々と、やや遠慮がちな水のしずくのように流れ落ちる星たち。あれこそがまさに流星群、というものだった。
 そこまですごい流星群を最近は見ていない。星って、都会の日常生活では遠いようでいて案外近くて、でも近いようでいて案外遠くて、遠くて、近くて、近くて、遠くて……で、どちらかといえばやっぱりちょっと遠いのかな。現代の都市生活では。
 
 (22:55)