惑星がひとつ減っちゃうのです

 といっても、溶けてなくなるとか、ブルース・ウィリスみたいな職人さんに爆薬を仕掛けられるとか、そういったことではなく。
 すでにニュースで大きく報じられているから知っている人も多いだろう。いまプラハで開かれている国際天文学連合IAU)の総会で、冥王星が「惑星」からはずされることが決まりそうなのだ。
 そもそもこの総会が始まる前の段階では、冥王星の衛星カロン小惑星セレス、2003年に冥王星の外側に発見された2003UB313の3つを新たに惑星と認定し、惑星の数が従来の9個から12個へと増えるはずだった。けっこうワクワクドキドキだった。
 ところが総会が始まってみると異論が続出。実は冥王星は古くから、軌道がほかの惑星とまったく違っていたり、木星より向こうにある惑星としては妙に小さかったりで「はたして冥王星は惑星なのか?」と疑念を持たれていて、海王星の外側にたくさんの小天体が見つかった1990年代以降、その議論が加速していた。そこで今回、カロン、セレス、2003UB313を新たに惑星の仲間に加えるかという案を検討する中で、いや逆に冥王星を惑星の座から降格させようという議論が高まり、どうやら決定的となった模様なのである。
 天体観測のレベルが数十年前までよりはるかに高くなり、その流れで「惑星」の定義を厳密にするという過程において今回の決定が行われるわけで、学術的には進歩のひとつなのだろうと思う。ただ、惑星の数がいままでの9個から8個に減ってしまうというのは、それも「増える!」とワクワクしていたのが一転して少なくなっちゃうというのは、なんというか、こう、情緒的にはやっぱりどこか物足りない。まあ、だからといって何がどうという問題でもないのだけれど。
 自分が生きているうちに、自分が実際に冥王星のあたりまで飛んでいき、自分自身の目でその姿を眺めるなんてことは、できないんだろうなぁ、たぶんきっとおそらく間違いなく。
 
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