昭和天皇の“不快感”

 きょういちばん大きなニュースといったら、やっぱりこれでしょう。靖国神社へのA級戦犯合祀について昭和天皇が不快感を示していたという話。
「だから私はあれ(A級戦犯合祀)以来(靖国へ)参拝していない それが私の心だ」
 富田朝彦宮内庁長官(当時)が残した発言メモの内容を見る限り、合祀決定時の松平永芳宮司に対する昭和天皇のコメントはかなり厳しいものだ。
「松平(元宮内大臣)の子の今の宮司がどう考えたのか 易々と 松平は 平和に強い考があったと思うのに 親の心子知らずと思っている」
 
 昭和天皇。彼の存在は、僕にとって幼い頃から一種のミステリーだった。いまでも僕の興味を強く惹きつけている。
 彼自身がどんな人間であったのか、実際に話したことのない僕にはまったくよくわからないし、見方もいろいろあろうけれど、伝えられている言行などから察するところでは、あの大変な時代、彼は彼なりにかなり苦労をしていたのだろうとは思っている。好意的にそう思うというより、客観的に。
 願わくば、このような周囲の人間のメモという形ではなく、彼自身の言葉として、あの戦争についての考えや、反省を、きちんと残しておいてほしかった。それを国民に対して直接、語りかけてほしかった。
 それがすでに不可能である現在、彼の子である現天皇に、さらに一歩、二歩、三歩と踏み込んだ行動を、(たとえそれが日本国の憲法に反しているとしても)僕は期待してやまない。
 
 (23:45)