大差の大旗

 マリナーズの今季初戦は城島がメジャー初安打初ホームランを放ったものの、残念ながら4−5でエンジェルスに惜敗。イチローも満塁の得点機に凡退するなど5打数1安打に終わった。まあ、そういうときもある。昨年は3割・200安打をギリギリで達成するという“イチローらしくない”シーズンだった。ことしはまた一昨年のように、大爆発してほしいと願う。
 ヤンキースのほうはアスレティックス相手に15−2で大差勝ちした。松井秀喜は昨年に続き開幕戦本塁打(3点)を放つなど、4打数4安打4打点・2四球の大活躍。現地の中継でも「Perfect!」と言われていた。こちらは実に快調なスタート、ことしも期待できるだろう。カーディナルスの田口も5年目で初の開幕戦先発出場を勝ち取り、きっちりと二塁打。こちらも13−5でフィリーズに大差の勝利を飾っている。
 
 しかし本日の大差といえば、第78回選抜高校野球大会決勝。横浜がなんとなんと21−0で長崎の清峰を圧倒し、松坂大輔を擁して春夏連覇したとき以来8年ぶり3度目のセンバツ優勝を果たした。
 横浜の21点は、春夏通じて決勝での最多得点となる。これまで春の決勝では、1982年のPL学園と2003年の広陵が挙げた15点が最多。夏は関西学院中学の17点で、この記録は“中学”ということからもわかるように実に古く、なんと大正9年1920年)のものだ。イチローが破っていったメジャーの数々の安打記録と同じ時代の出来事である。ちなみに、2003年に広陵が15点を奪った相手は横浜。今回の横浜はいわばそのときの雪辱ともなった。
 甲子園で見てきた1回戦の履正社戦(1−0)、2回戦の八重山商工戦(7−6)と、1点差ゲームを続けて乗り切り、準々決勝からの3試合は13点、12点、21点と本来の得点力が爆発した。ことしの横浜は打撃力というより得点力という言い方のほうがふさわしいだろう。しかし渡辺監督が言ったように「21点取ったことよりも0点に抑えて勝てたことのほうがうれしい」というのはわかる気がする。松坂のときのように飛び抜けた選手はいないが、投・走・攻・守すべての面でレベルが高く、総合力の勝利といえた横浜の優勝。夏も楽しみだ。
 今回の横浜でMVPをあげたい選手はといえば、ショートの高濱くんだ。彼の守りはとにかくすばらしいの一語に尽きる。捕球もそうだが捕ってからの送球が安定感バツグンで、見ていて頼もしかったし、彼の好守で実際にピンチを何度も切り抜けてきた。高濱くんの守りに代表されるように、守備はやはりしっかりしていた。横浜の最大の勝因は、守備力だったのかもしれない。
 敗れた清峰も応援していたチーム。決勝はややキレてしまったところもあったが、本来、横浜とこの得点差ほどの大差はないはず。ここも夏はまたきっとおもしろい。もちろん相当の実力を持っている八重山商工や、斎藤くんが限界を超える力投を見せた早実、秋田商、日本文理岐阜城北東海大相模も、そして春は出場辞退した駒大苫小牧も、夏に姿を見せてほしいところばかりだ。……まあ、横浜と東海大相模と両方を夏の甲子園で見ることはムリなのだけど。
 ところで僕は、自分の出身学校の校歌はロクに歌えないのに、横浜の校歌は小学校の頃からなぜか歌える(笑)。
 
 (17:48)