蘇我入鹿 is waiting for your visit, yeah!

 蘇我入鹿がドイツビールを飲んだら、明日香の邸宅でいったいどんな感想を漏らしただろうか。
 うめぇなぁ、このドリンク……なんてそう思っただろうか。いまの僕がそう感じているように。
 いや僕はいまドイツビールを一杯飲み終えて、シュタインヘイガーというジンをクイッと飲み終えて、さらにアウアーハンというドイツのコルン(小麦ベースのスピリッツ)やアクアビット(ジャガイモベースのスピリッツ)を飲んでいるのだけれど。
 シュタインヘイガーもコルンやアクアビットも「どういうふうに呑んだらいちばんおいしいですか?」と聞いたら「ドイツではストレートですね」というので、ストレートでいただいている。うまいなぁ。40度前後だから、日頃菊之露の古酒ロックで呑み慣れている強さでもある。シュタインヘイガーは初めて呑んだので「これ、ジンみたいな味ですね」と言ったら「それはドイツのジンです」と言われた。ははは。
 
 美ら島には0時半過ぎに行った。K村さんとはちょうど入れ替わりだったようだ。泡盛(いつもの菊之露古酒)を3杯呑んで、マスターたちとゴルフの話(マスターが今月末にゴルフに行くというので)や高校野球の話(八重山商工センバツ出場確定)、山形の話(お店のおばちゃん・キミちゃんが山形出身なので)などをして、2時過ぎに店を出て、GGC(Great German Cook)にきたわけ。んで冒頭の話につながる。
 
 で、ね、奈良だよ奈良。
 ことしの春頃から奈良にすんごく呼ばれている気がしていた。いや気のせいじゃなくて、実際、夏場に大和・飛鳥の旅を微妙に画策していたのだけど、巡り合わせというかなんというかついぞ行く機会を逸していたんだ。
 京都とはまったくもって違う、もっとこう日本の原初を求める想いに訴える何かが、奈良にはある。あるんだよね。同じような想いは、たとえば宮崎の高千穂や、出雲などにある。
 
 行きたい土地、知りたい国、歩きたい街、触れない海と山と森と大地、読みたい本、見たい映画、聴きたい音楽、唄いたい歌、弾きたい楽器、体験したい舞台演劇、食べたい料理、呑みたい酒、たくさんある。なんでこんなに……自分の一生程度の時間じゃ絶対ムリだよ……と嘆きたくなるくらい、ある。
 そして、好きな人がいる。いろいろ話したい人がいる。いろんなものを一緒に見たり聞いたり経験したりしたい人がいる。いつも一緒にいたい人がいる。会いたい人、すごく会いたい人、一緒に食べ、呑み、歌い、笑い、泣き、感動しながら会いたい人、手をつなぎたい人、キスしたい人、一緒に抱き合いたい人が、いる。
 普通に自然に生きている僕には、普通に自然にこれくらいの望みが、願いがある。
 時間なんて、どれだけあったって足りないよ。
 大化の改新から1400年近くの長い長いこの時間を、まとめて、僕にください。けっしてムダな使い方はしないので、僕にください! お願い入鹿さん!
 
 (3:04)