突進

 イヤな夢を見ました。
 夢といっても、眠っているときに見る夢でもなければ、「将来、こういうふうになりたい」という夢でもありません。いわゆる白昼夢、白日夢ってやつです。眠っているわけでもないのに、歩いたり何かをしたりしているとき、気がつくとアタマの中に浮かんでいる映像、あれです。
 どんな白昼夢だったかというと、至極簡単。僕は道を歩いていて、それはたぶんそんなに広くない道、国道や表通りではなく住宅街の路地だと思うんですが、そういうところを歩いていて……いや、歩いていたかどうかもわからない。一瞬の夢だから。とにかく僕は路地裏みたいなところにいて、そしたら一台のバイクがすごいスピードで僕に向かって突進してきて、僕の胸に激突して、僕は背中から壁に圧しつけられて、そしてたぶんそのまま気を失って……という、文字で書くと長いですが一瞬の白昼夢です。きのう歩いていたら、こんな白昼夢を、見ました。
 なんで突然、しかも歩いているさなかにこんな白昼夢を見たのかは、わかりません。
 わかりませんが、僕はこういうふうに死ぬのかもしれないな、と、なんだか冷静に、そんなふうに感じました。お告げ? いやそんなに神がかり的なものではなく、もっとシンプルに。
 バイクに突っ込まれて死ぬとか、あまりいい死に方ではないですけど。でも自殺じゃないですから、単なる事故ですから、実際に起きてしまったら、しょうがないことなのでしょう。そのときが現実にきたとしてもけっこう冷静に、「あ、これか」と思うのかもしれません。
 そんなふうに、感じました。 (1:45)